戦乱続く倭の国で、出会った強き二つの心。
邪馬台国女王・壱与と、方術士・紫苑の二人は、倭国統一を誓い、伝説の神都・高天の都を目指し、旅に出る。
だが、その行く手には方術の使い手・陰陽連が待ち受けているのだった。
古代の日本を舞台に、平和を望む壱与と紫苑の旅の物語である。
『邪馬台幻想記』とは
週刊少年ジャンプ1999年12号から1999年29号まで連載していた冒険バトル漫画。
作者は矢吹健太朗、単行本は全2巻となっている。
矢吹健太郎先生の連載デビュー作。
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方術士・紫苑
13歳の少年ではあるが、「古来より伝わる幻の戦術」といわれる”方術”を使うことができる。
戦乱の時代を迎え、祖国を戦乱で失った紫苑は、国王を暗殺して国を滅ぼす「国崩し」を行う”陰陽連”のもとに引き取られていた。
あるとき、組織から次のターゲットとして、邪馬台国の女王・”壱与”の暗殺の任務を受ける。
壱与暗殺のため、近づく手段として兵士採用試験に出場した紫苑は、その圧倒的な強さで壱与から直々に、”護衛役”に任命されるのだった。
邪馬台国の女王・”壱与”
たやすく仕事ができると思った紫苑だったが、壱与は紫苑の正体に気づいており、逆に「紫苑と話がしたい」と申し出る。
戦乱をなくす為に倭国統一の夢を語る壱与に、紫苑は徐々に、自分の任務に疑問を抱き始めるのであった。
高天の都
高天の都とは、倭国のどこかにあると伝えられる伝説の聖地であり、倭国の中心地でもある。
ここを制することはすなわち、「倭国の王」という証のため、諸国が競って追い求めていた。
そして、壱与もまた、この「高天の都」を探し出し、倭国統一をすることを目的としていたのだ。
”国崩し”陰陽連
そんな2人のもとに、紫音の”陰陽連”の仲間であるシダが、壱与を殺すために現れた。
もともと”国崩し”によっての国の破壊、国がなくなることで、戦のない世の中を造り上げる、という”陰陽連”のやり方に疑問を抱いていた紫音であったが、ここでシダからすべての真相を聞かされるのであった・・・。
こうして、すべての真相を知った紫音は、”陰陽連”に反旗を翻し、壱与を守り、共に”高天の都”を目指すことを決意した。
最後に・・・
以上、『邪馬台幻想記』のレビューであった。
今や、「おバカラブコメ」のイメージが強い矢吹先生の正統派冒険漫画にして、連載デビュー作である。
確か、18歳ほどでこの連載を開始していたような記憶がある。
この後、「ブラックキャット」「To Loveる」とヒット作を飛ばしていくことを考えると、デビュー当初から才能に溢れていた人だったのだろう。
矢吹先生のファンの方には、矢吹健太郎の歴史を知る上で、是非とも読んでおいて欲しい作品である。