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【打ち切り漫画レビュー】ヨアケモノ

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こんにちは、takaです。

 

今回は2014年34号から連載が開始され、2014年50号で終了となった「ヨアケモノ」のレビューをしたいと思います。

新選組という、もともとの固定ファンが多いテーマに加え、幕末という動乱の時代設定など、いい素材盛り込んだものの、その設定が徐々に重しのようになってしまい、長期連載を得るまでにはいきませんでした。

 

 

 

 

自分たちを認めてもらうために「新選組」へ

 

 

主人公・暁月刃狼(あかつき じんろう)は、親友の暁月銀(あかつき ぎん)と共に、「侍狩り」をしている”山犬”と呼ばれる山賊。

二人は共に孤児、かつて盗賊の濡れ衣を着せられ、顔に”山犬”と刺青を入れられた彼らでしたが

「一度、世間から外れた人間が自力で何をしようが世の中の連中は認めようとはしねえ・・・」

あるとき、二人は自分たちを認めてもらうため、自分たちの居場所を求めるために新選組」への入隊を志願するのでした。

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この時点では、主人公の親友である銀が新選組に入隊後、刃狼の能力の高さに徐々に嫉妬していき、ダークサイドに落ちていずれ敵側に付くのかなあ、と思っていましたが、その予想をまるで裏切るかのように第一話のラストはとても重いものでした。

戦闘シーンも迫力があり面白く、また、新選組の敗北を意味するような意味深な「ヨアケモノ」というタイトルもあって、非常に期待のもてるスタートでした。

 

新選組&動物能力バトル

 

 

新選組”をテーマにしているだけあって、土方歳三近藤勇沖田総司など歴史のビックネームのキャラクター達が味方側にも敵側にもバンバンと出てきます。

もともと固定ファンが大勢いるジャンルなので、上手くいけば爆発的なヒットにもなりえた材料だったでしょう。

そして、この作品の最大の魅力は”獣刃”を使った能力バトル。

黒船に乗っていた何者かがこの国にもたらしたという漆黒の刀”獣刃”

その刃を自らに突き立て、受け入れられたものだけが人間を超えた獣の特性を手に入れる、という設定のものでした。

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例えば、山犬の力を持つ刃郎は尋常ではない体力を持ち、雪豹の力を持つ鉄之助は体温操作によって出血を止めたり、気配を消すことができたり、猫の力を持つ沖田総司はその動体視力を生かした攻撃を得意とする、といった獣特有の力を発揮することができます。

また、各自の獣の能力を組み合わせて、強靭な敵に向かっていく姿はなかなか見ごたえがあり、面白いものでした。

 

一撃の重さ、ドキドキする戦闘シーン

 

 

全体を通して、”一撃で勝負が決まる場面が多かった”印象がありました。

一撃の重さ、一発もらった死ぬという真剣特有の緊張感がこちらまで伝わってきて、だらだらと戦闘シーンが長引くこともなくドキドキしながら読むことができて良かったです。

意図してそうしたのか、テンポをよくするためにそうしたのかわかりませんが、”刀の強さ”が上手く表現されていたのではないでしょうか。

 

 

なぜ打ち切りになったのか

 

 

新選組”に”能力バトル”を組み合わせるという面白い設定、さらに歴史の偉人達を登場させたにも関わらず、人気が出ずに長期連載を得ることができなかったのか。

 

 

主人公がぶれすぎていた

 

 一話目は侍狩りをしている山賊という立場だった刃狼が、新選組に入った途端に「悪い奴は許さない!」といった正義のスタンスに急に変わります。

しかし、特にこのことには強い理由もなく最後まで「悪い奴は許さない!」という単調な理由で突っ走るので、刃狼に思入れをすることはできませんでした。

敵側である維新志士側に「こんなやつら倒してしまえばいいのに」と思えるような極悪人描写がなかったことも、刃狼の「悪い奴は許さない!」というスタンスにピンとこなかった原因のひとつかもしれません。

 

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そもそもの「身分の関係ない新しい世界を作る」という維新志士の信念を刃狼が持っていたのだと思うのですが、それを「悪い奴は許さない!」で切り捨てるのはどうなのでしょうか。

 

新選組に魅力を感じない

 

新撰組への入隊試験が、「獣刃能力を持っている沖田総司に勝たなければ入隊できない」というとても厳しいものでした、もちろん入隊者はゼロ。

刃狼も山で過酷な訓練をした後に、やっと沖田総司に勝ち入隊できたという場面がありました。

しかし、そこまでして入隊したにも関わらず、すぐに強靭な敵のいるところにどんどん送り込まれるなど、なかなかの任務を課せられ、そのくせそれといったリターンはないし、そして特に民衆から憧れの目で見られているわけでもない・・・。

「これ新選組に入隊しないほうがいいんじゃないの?」と読んでいるこちらが思うほどでした。

 

もっと「新選組」の良さが伝わるポイントがあれば・・と感じました。

 

敵側の維新志士が絶対悪?

 

 

あまり歴史に詳しくないもので、突っ込んだことを言えないのですが、この漫画は新選組が善、維新志士が悪という区別が一応されています

しかし、実際の維新志士は「日本を変える」という違った正義を持っていたということが史実などに書かれていたということもあって、どうも彼らが絶対悪のようには思えなく、作中でもそれを意識してか、これといって絶対的な悪人ぽくは描かれておりません。

もしかしたら作者は、いずれは向こう側からの正義の視点を描こうと思って、このようにあやふやにしたのかもしれませんが、新選組が善、維新志士が悪という完全な区別をもっと読者側に伝える描写があっても良かったように思えます。

そのこともあって、読者は刃狼を応援しずらいという印象を与えてしまったのではないでしょうか。

 

 

女性キャラが出てこない

 

 

珍しく女性キャラがまったく出てきません!

お面を被った山崎というキャラが「女性なのでは?」と思わせるような部分があるくらいで、メインキャラで女性が出てくることはありません。

重い世界観だっただけに、少し話を明るくするような、お色気要素として女性キャラがいても良かったのかな、と。

なんだかんだで、女性キャラは読者を挽きつけますからね。

 

 

 

 

残念ながら短命に終わってしまいましたが、忠実に新選組を描きつつも、オリジナル要素も入れるという作者の作品への取り組み方は素晴らしいものでした。

単行本を読むと、登場していないキャラの設定イラストなどが多く載っていたので、まだまだ描き足りなかったんだろうな、と思いました。

個性あふれる新選組のキャラクター達、そして迫力ある能力バトル「ちょっと変わった新選組が見たい」という方は読んでみてはいかがでしょう。

 

 

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